はじめに
BA JAPAN代表の松好です!
この度、2024年7月より、BAエンドモーター BAE380Rという製品をリリースしました。根管長測定機能がついたエンドモーターです。
エンドモーターを使った根管形成と聞くと、一番気になるところが「ファイルは折れないのか?」というところではないでしょうか。また、エンドモーターを使うと早く根管形成ができるのはわかるけれど、削り過ぎやパーフォーレーションが不安、という先生はいらっしゃいませんか?
実は、BAエンドモーターは、回転を緻密にコントロールすることができ、これによってファイルの破折や削りすぎなどのリスクに備えることができます。今回は、回転のコントロールについて解説しますので、エンドモーターってこんなものなんだな、と思ってもらえればうれしいです!
回転のコントロールとは
結論からいいますと、BAエンドモーターは、「回転スピード」「許容トルク」「回転方向」を設定することができ、3つの設定によりシーンに合った切削力を創り出すことができます。多様な回転が設定できること、これがハンドファイルと比較したときのBAエンドモーターの大きなメリットです。
もう少し詳しく解説します。
- 回転スピードとは、ファイルを1分間に何回回転させるかという数値です。回転スピードが速ければ速いほど、切削力が大きくなります。
- 許容トルクとは、ファイルを回転させる力を、最大いくつまでにするか、という数値です。許容トルクが大きいと、切削力が大きくなります。※許容トルクについては後ほど説明します。
- 回転方向:ファイルを、正回転・逆回転、または往復(レシプロ)回転させるか、選択することができます。切削方向にファイルが回転すると、切削できますが、逆回転では切削できません。
数式で表すと、切削力=回転スピード×回転トルク×回転方向 となります。
BAエンドモーターでは、この3つの要素を数値で上下させることができます。
「ここは柔らかい組織のところだからスピードを上げて効率よくいこう、でも削りすぎないように許容トルクは抑えておこう」
「正回転と逆回転を60度ずつ、ウォッチ・ワインディングモーションでゆっくり安全に根管形成しよう」
「このファイルは〇〇回転・◯◯許容トルクで使えば良い、とメーカー推奨があるので、この設定にしよう」
といった設定ができます。
許容トルクとは
「許容トルク」について説明します。
許容トルクとは、回転時にファイルにかかっている負荷をどの範囲までなら許容するか、という最大値のことです。
この最大値は事前に設定しておき、想定よりもファイルに負荷がかかってしまったときには、エンドモーターが自動的に逆回転をさせます。
逆回転がかかることによって、ファイルの負荷を軽減し、破折のリスクを下げることができます。
さらに、BAエンドモーターを使うと、治療中にファイルにどのくらいの負荷がかかっているのか、音と表示で教えてくれます。
許容トルクについては動画をご覧いただくとよりご理解いただけるかもしれません。下記の2分40秒あたりを見て下さい!
ファイルに負荷がかかることで初めて切削力がうまれます。負荷がかかりすぎるとファイルが捻じれ、破折の原因になります。逆にファイルに負荷がかからないと、効率よく切削できません。
この微妙なラインを数値でデジタル制御することができるのが、許容トルクの設定です。
ファイルの回転数、許容トルク、回転方法は、ファイルの添付文書や取扱説明書をご確認ください。ファイルによって形状や素材が異なりますので、最適な回転数やトルクはファイルによって異なります。
ただ、エンドモーターを初めて使用する場合、回転数もトルクも推奨回転・推奨トルクよりも小さい設定で始めていただくことも良いかもしれません。効率は低くなってしまいますが、その分安全に切削することができます。徐々に慣れてきたら、取扱説明書に従って適切な回転なスピードとトルクで使用することで、安全かつ効果的に作業を進めることができるかと思います。
最後に
もちろん、ハンドファイリングと比べて、BAエンドモーターが絶対に安全とは言えません。ただ、ハンドファイリングと比べて、BAエンドモーターはファイルの回転を数値で管理できるというメリットがあります。逆に言うと、ファイルの回転を数字で管理ができるから、BAエンドモーターが世界中の先生にご利用されている、という言い方もできると思います。
今回はBAエンドモーター BAE380Rの回転コントロールについて解説しました。
BAエンドモーターには、回転コントロールができること以外にも、さらに根管長測定ができることと、根管長測定をしながら切削ができるというメリットがあります。またこの2つのメリットについては解説します。
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